大学入学共通テストに「情報I」が追加されたことで、「どう対策すればいいの?」と不安を感じている受験生や保護者の方は少なくありません。2025年1月から正式に出題が始まり、国公立大学を中心に多くの大学が「情報I」のスコアを合否判定に利用しています。
この記事では、共通テスト「情報I」の出題傾向と効果的な勉強法を、実際の試験結果をもとに解説します。早い段階から対策を始めたい中高生や、お子さんの将来の受験に備えたい保護者の方はぜひ参考にしてください。

共通テスト「情報I」の基本情報
まずは試験の全体像を把握しておきましょう。
試験概要
共通テスト「情報I」は100点満点、試験時間60分のマークシート方式で出題されます。大問は4題構成で、情報社会の問題解決、コミュニケーションと情報デザイン、プログラミング、データの活用の4分野から出題されます。
配点の内訳
2025年度の試験では、大問1(情報社会・ネットワーク)が20点、大問2(情報システム・シミュレーション)が30点、大問3(プログラミング)が25点、大問4(データの活用)が25点でした。プログラミング分野だけで全体の約4分の1を占めることがわかります。
利用状況
国公立大学では多くの大学が「情報I」を共通テストの必須科目または選択科目として課しています。私立大学でも共通テスト利用入試で「情報I」を選択できるケースが増えています。志望校がどのように「情報I」を扱っているか、必ず募集要項を確認しましょう。
これまでの出題傾向を分析
2025年度(初年度)と2026年度の試験結果をもとに、出題傾向を整理します。
2025年度:初年度は比較的取り組みやすかった
初年度の平均点は69.26点と、共通テストの目標平均(60点前後)を大きく上回りました。試作問題と似た構成で出題されたため、対策をしていた受験生は高得点を取りやすい状況でした。
2026年度:大幅に難化
2026年度の平均点は56.59点で、前年から12.67点も下がりました。マーク数が前年の51から60に増加し、処理スピードが求められる出題に変わったことが主な要因です。知識問題の配点は10点程度にとどまり、初見のテーマについてその場で考える応用問題が中心となりました。
今後の傾向予測
2年間の結果から、共通テスト「情報I」は単純な暗記では対応できない、思考力重視の問題が主流になっていくと予想されます。教科書の基本事項を踏まえたうえで、見たことのない題材に対して柔軟に対応する力が求められます。
平均点の変動が大きいのは、まだ試験として成熟していない証拠でもあります。過去問の蓄積が少ない今の段階では、教科書の内容を深く理解し、応用問題に慣れることが大切です。
情報Iの4つの分野別対策
各分野ごとに、効果的な学習方法を解説します。
分野1:情報社会の問題解決
情報モラル、著作権法、個人情報保護法、サイバーセキュリティなどが出題されます。教科書の内容をしっかり読み込み、基本的な用語と概念を理解しておきましょう。ニュースで取り上げられる情報セキュリティ事件を追うことで、実践的な理解が深まります。
分野2:コミュニケーションと情報デザイン
情報の表現方法、ユーザビリティ、アクセシビリティなどが問われます。Webデザインやユーザーインターフェースの基本的な考え方を理解しておくとよいでしょう。
分野3:プログラミング
共通テスト独自の記述言語「DNCL(共通テスト手順記述標準言語)」を使ったプログラムの読解問題が出題されます。アルゴリズムの基本(ソート・サーチなど)を理解し、疑似コードを読む練習を積むことが重要です。実際にPythonなどでプログラムを書く経験があると、コードリーディング力が格段に上がります。
分野4:データの活用
統計の基礎知識(平均・中央値・標準偏差・相関係数など)とデータの可視化、データベースの基本操作が問われます。表計算ソフトを使ったデータ分析の経験があると、問題の意図を素早く把握できます。

効果的な勉強スケジュール
学年ごとの学習計画の目安を紹介します。
高校1〜2年生:定期テストを軸に基礎固め
まずは学校の「情報I」の授業をしっかり受け、定期テスト前に週1〜2時間程度の復習時間を確保しましょう。教科書の内容をしっかり理解し、用語や概念を自分の言葉で説明できるレベルを目指します。
高校3年生の夏まで:問題集で知識を定着
共通テスト対策用の問題集に取り組み、知識の穴を埋めていきます。この段階では週2〜4時間程度の学習が目安です。特にプログラミング分野は実際に手を動かしてコードを書く経験が理解を深めるため、Pythonの入門書を1冊やり通すのがおすすめです。
高校3年生の秋以降:過去問・模試で実践力を磨く
共通テストの過去問や予備校の模試を活用し、時間配分を意識した実践演習に入ります。60分で大問4題を解ききるスピード感に慣れることが重要です。毎日1〜2時間の集中学習を続けましょう。
おすすめの参考書・学習リソース
情報Iの対策に使える参考書や学習リソースを紹介します。
教科書・教科書準拠問題集
まずは高校で使っている教科書が基本です。教科書を読み込んだうえで、教科書準拠の問題集で知識を確認しましょう。学校の定期テスト対策にもなるため、一石二鳥です。
共通テスト対策問題集
Z会や河合塾、東進など各予備校が発行している共通テスト対策の問題集がおすすめです。過去問の蓄積が少ない科目だからこそ、予備校が作成した予想問題集で演習量を確保することが大切です。
無料のオンライン教材
文部科学省が公開している「情報I」の教員研修用教材は、無料で読むことができます。また、大学入試センターが公表している試作問題や過去問も、対策の基本資料として活用しましょう。
「情報I」はまだ始まったばかりの科目のため、過去問のストックが少ないのが現状です。一つの問題集だけに頼るのではなく、複数のリソースを組み合わせて対策するのが安全です。
小中学生のうちからできる準備
大学入試はまだ先の話ですが、小中学生のうちから以下の経験を積んでおくと、高校で「情報I」を学ぶ際にスムーズに進められます。
プログラミングの基礎体験
Scratchでゲームやアニメーションを作った経験がある子供は、プログラミングの基本概念(変数・条件分岐・繰り返し)を体感的に理解しています。これは高校以降のテキストベースプログラミングの学習を加速させる土台になります。
データを扱う経験
表計算ソフトでグラフを作ったり、アンケート結果を集計したりする経験は、「データの活用」分野の理解を助けます。自由研究などで実際にデータを集めて分析する体験をしておくとよいでしょう。
タイピング力
タイピングはすべてのIT学習の基礎です。中学生のうちにローマ字入力を習得しておけば、高校の情報の授業で実習を行う際にストレスなく取り組めます。

Q&A:大学入試の情報科目に関するよくある質問
Q. 情報Iを捨て科目にするのはアリですか?
国公立大学を受験する場合、多くの大学が情報Iのスコアを合否判定に利用しているため、捨て科目にするのはリスクが高いです。配点は大学によって異なりますが、他の受験生がしっかり対策してくる以上、無対策では差がつきます。
Q. 文系でもプログラミングの対策は必要ですか?
共通テスト「情報I」は文系・理系を問わず出題されます。プログラミング分野は配点の約25%を占めるため、文系であっても対策を避けることはできません。ただし、実際にプログラムを書ける必要はなく、コードを読んで処理の流れを追える力があれば得点できます。
Q. 独学で対策できますか?
教科書と問題集を使った独学で十分対策可能です。ただし、プログラミングの問題は実際にコードを動かしてみないと理解が深まらない面があるため、Pythonなどの言語を少しでも触った経験があるとかなり有利になります。
Q. 情報Iで高得点を取るために最も重要なことは何ですか?
「教科書レベルの基礎知識を完璧にしたうえで、初見の応用問題に対応できる思考力を養うこと」です。暗記だけでは得点できず、かといって知識なしでは応用問題にも手が出ません。基礎と応用のバランスが大切です。
Q. 私立大学でも情報Iは必要ですか?
私立大学の一般入試では情報Iを課さないケースがまだ多いです。ただし、共通テスト利用入試を活用する場合は情報Iのスコアが必要になることがあります。志望校の募集要項で、共通テスト利用型の必要科目を確認しておきましょう。
Q. 情報Iの対策にスマホアプリは使えますか?
用語の暗記や基礎知識の確認にはスマホアプリも活用できます。ただし、プログラミングの問題演習やデータ分析の練習はパソコンで行う方が実践的です。通学時間などのスキマ時間にはアプリで知識を固め、まとまった時間にはパソコンで演習問題に取り組むという使い分けがおすすめです。
まとめ
大学入学共通テスト「情報I」は、知識の暗記だけでなく思考力と応用力を問う科目です。2026年度には大幅に難化し、平均点は56.59点まで下がりました。今後も思考力重視の出題が続くと予想されます。
対策のポイントは、教科書の基本事項を着実に押さえたうえで、プログラミングとデータ活用の分野を重点的に演習することです。小中学生のうちからプログラミングやデータ分析に親しんでおくと、高校での学習が格段にスムーズになります。


