子供がプログラミングを始めるとき、意外と見落としがちなのがキーボード選びです。大人用のフルサイズキーボードでは手が届きにくく、タイピングが上達しにくいと感じるお子さんも少なくありません。
プログラミングではアルファベットだけでなく、波括弧やセミコロンなどの記号を頻繁に使います。キーが押しにくかったり配列がわかりにくかったりすると、コードを書くこと自体がストレスになってしまい、せっかくの学習意欲を削いでしまいかねません。
この記事では、小さい手でも打ちやすいキーボードの選び方と、子供のプログラミング学習に適したおすすめキーボードの特徴を詳しく解説します。タイピングの上達にもつながるキーボード選びの参考にしてください。
子供のプログラミング学習にキーボード選びが重要な理由
プログラミングはキーボードで文字や記号を入力する作業の連続です。使いにくいキーボードは学習の妨げになるだけでなく、正しいタイピングフォームが身につかない原因にもなります。
プログラミングで多用する特殊なキー
日本語の文章を打つときにはあまり使わないけれど、プログラミングでは頻繁に使うキーがあります。具体的には以下のようなキーです。
- 波括弧 { } :プログラムのブロックを囲む
- 角括弧 [ ] :配列やリストの記述に使う
- セミコロン ; :文の終わりの区切り
- イコール = :値の代入
- アンダースコア _ :変数名やファイル名に使う
- Tab キー:インデント(字下げ)に使う
これらのキーが押しやすい配置になっているかどうかは、プログラミング用のキーボードを選ぶうえで見落とせないポイントです。
小さい手でフルサイズキーボードを使う問題点
一般的なフルサイズキーボードのキーピッチ(キーの中心から隣のキーの中心までの距離)は約19mmです。大人にはちょうどよいサイズですが、小学生の手には広すぎます。指を大きく開かないとホームポジションを維持できず、手首や指に余計な負担がかかってしまうのです。
また、テンキー付きのフルサイズキーボードは横幅が約45cmもあり、子供用のデスクに置くとマウスを動かすスペースが確保しにくくなります。

子供用キーボードを選ぶときの5つのポイント
キーボードにはさまざまな種類がありますが、子供のプログラミング学習を前提に選ぶときは以下の5点を意識しましょう。
ポイント1:キーピッチが小さめのものを選ぶ
キーピッチが17〜18mm程度のコンパクトキーボードであれば、小学生の手でもホームポジションを維持しやすくなります。ノートパソコンのキーボードは多くの場合19mmですが、外付けのコンパクトキーボードには小さめのキーピッチのモデルがあります。
ポイント2:テンキーレス(TKL)を選ぶ
テンキー(数字キーの並んだ右側部分)がないタイプを「テンキーレス」と呼びます。横幅が約10cm短くなるため、デスクのスペースを有効に使えるうえ、マウスまでの距離が近くなるので体への負担も軽減されます。プログラミングでテンキーを使う場面はほとんどないため、テンキーレスで困ることはありません。
ポイント3:キーストロークが浅めのものを選ぶ
キーストローク(キーを押したときの深さ)が深すぎると、子供の指では底まで押し込むのに力が必要になります。パンタグラフ式やメンブレン式の薄型キーボードは、キーストロークが浅く軽い力で入力できるため、子供に向いています。
ポイント4:有線かワイヤレスか
有線キーボードは電池切れの心配がなく、遅延もないため安定して使えます。一方、ワイヤレスキーボードはケーブルがなくてデスク周りがすっきりするメリットがあります。Bluetooth接続タイプならUSBポートも使いません。
どちらでもプログラミング学習に支障はありませんが、子供が机の上を散らかしがちな場合はワイヤレスのほうが快適かもしれません。
ポイント5:日本語配列か英語配列か
プログラミングの世界では英語配列(US配列)のキーボードを好む人が多いです。理由は、記号キーの配置がプログラミングに向いているためです。たとえば、波括弧やコロンの位置が英語配列のほうが押しやすい設計になっています。
ただし、学校ではJIS配列(日本語配列)が使われていることがほとんどです。子供が混乱しないよう、学校や教室と同じ配列にそろえるのが無難です。
プログラミング学習におすすめのキーボードタイプ
具体的な製品ではなく、プログラミング学習に適したキーボードの「タイプ」をいくつか紹介します。お子さんの手のサイズや使用環境に合わせて選んでみてください。
コンパクトワイヤレスキーボード
横幅30cm前後のコンパクトなワイヤレスキーボードは、小さなデスクでも使いやすく、子供の手にもフィットしやすいサイズです。Logicool(ロジクール)やELECOM(エレコム)から子供でも使いやすいモデルが販売されています。
LogicoolのK380はBluetooth接続のコンパクトキーボードで、丸みを帯びたキートップが特徴です。3台までのデバイスとペアリングでき、パソコンとタブレットの切り替えもボタンひとつで行えます。
薄型パンタグラフキーボード
ノートパソコンと同じパンタグラフ方式を採用した薄型キーボードは、キーストロークが浅く、軽いタッチで入力できるのが特長です。デスクトップパソコンにノートパソコンのような打鍵感を求める場合に適しています。
ELECOMの薄型キーボードシリーズには、キーピッチ18mmのコンパクトモデルがあり、小学校中学年以上のお子さんにちょうどよいサイズ感です。

メカニカルキーボード(静音タイプ)
メカニカルキーボードは「カチカチ」という打鍵音が特徴ですが、静音スイッチを搭載したモデルなら音を抑えつつも確かな打鍵感を得られます。キーを押した感触がはっきりしているため、タイピングの上達を実感しやすいというメリットがあります。
ただし、メカニカルキーボードは価格が高め(5,000〜15,000円程度)で、重量もあるため持ち運びには向きません。自宅据え置き用として、本格的にプログラミングに取り組むお子さんに向いています。
タイピング練習も一緒に始めよう
よいキーボードを選んだら、タイピング練習も並行して行うと学習効率がさらに上がります。プログラミングではコードを素早く正確に入力する必要があるため、ブラインドタッチ(タッチタイピング)を早い段階で身につけておくと有利です。
子供向けタイピング練習サイト
無料で使えるタイピング練習サイトを活用すると、ゲーム感覚で楽しみながらタイピングスキルを伸ばせます。
TypingClubは段階的にタイピングを学べる無料サービスで、ホームポジションの基礎から丁寧に練習できます。英語のサイトですが、操作は直感的で子供でも使いやすいです。
日本語のサービスでは、Playgram タイピングがおすすめです。ローマ字入力の基礎からステップアップ形式で学べ、プログラミングで使う記号の練習も含まれています。
ホームポジションの教え方
最初にホームポジション(左手の人差し指をFキー、右手の人差し指をJキーに置く位置)を教えましょう。FキーとJキーにある小さな突起を手がかりに、目で見なくても指の位置がわかるようになります。
最初の1〜2週間は速さを気にせず、正しい指の位置で打つことだけを意識させてください。スピードは自然とついてきます。焦って自己流のタイピングを覚えてしまうと、後から矯正するのが大変です。

キーボードと一緒にそろえたい周辺アイテム
キーボード選びとあわせて、以下のアイテムも検討してみてください。
リストレスト
キーボードの手前に置くクッション状のアイテムで、手首の負担を軽減します。長時間タイピングするときに手首が痛くならないよう、特にデスクトップパソコンを使う場合は用意しておくとよいでしょう。
キーボードカバー
子供はお菓子を食べながらパソコンを触ることもあるため、キーボードカバーをつけておくと汚れや食べかすの侵入を防げます。シリコン製のカバーは洗って繰り返し使えるので経済的です。
タイピング練習用のキーボードシール
キーの配置を覚えるまでの補助として、指ごとに色分けされたキーボードシールを貼るという方法もあります。どの指でどのキーを押すかが視覚的にわかるため、ホームポジションの習得がスムーズになります。
キーボードの無刻印モデル(キーに文字が印字されていないタイプ)は上級者向けです。子供の学習用には、はっきりとした印字があるキーボードを選んでください。かな表記の有無は好みで構いませんが、ローマ字入力を基本とするならかな表記がないほうがすっきり見えます。
キーボード選びで迷ったときの判断基準
種類が多すぎて決められないというときは、次の基準でシンプルに判断してみてください。
まず、お子さんの手を広げたときの幅を測りましょう。手の幅が15cm以下ならキーピッチ17mm以下のコンパクトキーボード、15cm以上なら18mmの標準的なコンパクトキーボードが目安になります。
次に、利用場所を考えます。自宅のデスクだけで使うなら有線でもワイヤレスでもよいですが、教室やリビングなど場所を変えて使うならワイヤレスが便利です。
最後に、予算を決めます。2,000〜3,000円のメンブレン式でもプログラミング学習には十分使えます。5,000円以上の予算があれば、打鍵感のよいパンタグラフ式やメカニカル式も選択肢に入ります。
実際に家電量販店やヨドバシカメラなどで実物に触れてから決めるのがもっとも確実です。



