「情報Iの対策にはプログラミングを学んだ方がいいの?」と気になっている高校生や保護者の方は多いのではないでしょうか。共通テスト「情報I」ではプログラミングに関する大問が出題され、配点も全体の約25%を占めています。
この記事では、情報Iの対策としてプログラミング学習がどの程度有効かを解説し、実際に点数を取るための具体的な学習方法を紹介します。

共通テスト「情報I」でプログラミングはどう出題されるか
まずは試験でプログラミングがどのように問われるのかを確認しましょう。
DNCL(共通テスト手順記述標準言語)とは
共通テストのプログラミング問題では、特定のプログラミング言語ではなく、「DNCL」と呼ばれる日本語ベースの疑似言語が使用されます。これは受験生が特定の言語を学んでいなくても解答できるように配慮されたものです。変数の代入、条件分岐(もし〜ならば)、繰り返し(〜の間繰り返す)などが日本語で記述されます。
求められるスキル
実際にプログラムを「書く」力ではなく、プログラムを「読む」力が問われます。具体的には以下の能力が必要です。
コードを上から順に追いかけて処理の流れを把握する力、変数の値がどう変化するかを追跡する力(トレース)、アルゴリズムの意図を理解する力、プログラムの一部を修正して目的を達成する方法を考える力です。
配点と問題数
プログラミング分野は25点配点(全体の25%)です。大問の中に複数の小問が含まれ、基本的なコードリーディングから応用的なアルゴリズム問題まで、段階的に難度が上がる構成になっています。
プログラミング学習が情報Iに有効な3つの理由
プログラミングの学習経験は、情報Iの対策において以下のようなメリットをもたらします。
理由1:コードの読解力が自然と身につく
実際にプログラムを書いたことがある人は、コードを読む速度が格段に速いです。変数の動き、条件分岐の流れ、ループの挙動などが感覚的に理解できるため、DNCLの疑似コードを見たときにも素早く処理の流れを把握できます。
理由2:アルゴリズムの発想が身についている
プログラミングを学んだ経験があると、「この処理は何のために行われているのか」というアルゴリズムの意図を読み取る力が養われています。初見の問題であっても、「あ、これはソートのアルゴリズムだ」「これは探索処理だ」と構造を見抜けるようになります。
理由3:デバッグ的思考ができる
プログラミング経験者は、コードの中のバグ(間違い)を見つける訓練を積んでいます。共通テストでも「このプログラムの誤りを修正せよ」タイプの問題が出題されることがあり、デバッグ経験が直接的に役立ちます。
プログラミング学習は「情報Iのため」だけに行うものではありませんが、学習経験がある人は間違いなくアドバンテージを持ちます。特に、実際に手を動かしてコードを書いた経験の有無で、理解の深さが大きく変わります。
情報I対策のためのプログラミング学習法
では、情報Iの得点アップを目的としたプログラミング学習は、具体的にどう進めればよいのでしょうか。
ステップ1:Pythonの基礎を学ぶ
情報Iの対策としてプログラミング言語を学ぶなら、Pythonがおすすめです。文法がシンプルで初心者にも取り組みやすく、DNCLの記法とも親和性が高いです。以下の内容を押さえましょう。
変数と代入、四則演算、文字列操作、条件分岐(if文)、繰り返し(for文・while文)、リスト(配列)の操作、関数の基本です。これらを一通り学ぶだけでも、プログラムの読解力は大幅に向上します。
ステップ2:基本的なアルゴリズムを理解する
共通テストで頻出するアルゴリズムを理解しておきましょう。
線形探索(先頭から順に探す)、二分探索(半分ずつ絞り込む)、バブルソート(隣り合う要素を比較して並べ替え)、選択ソート(最小値を選んで並べ替え)、合計・平均・最大値・最小値の計算です。これらのアルゴリズムを自分でPythonで実装してみることで、深い理解が得られます。
ステップ3:DNCLの記法に慣れる
Pythonの基礎を学んだ後は、DNCLの記法に慣れる練習をします。大学入試センターが公表している試作問題や過去問で、DNCLのコードを読む練習を繰り返しましょう。Pythonを知っている人にとっては、DNCLは「日本語で書かれたPython」のようなものなので、慣れるのにそれほど時間はかかりません。
ステップ4:過去問演習で時間配分を身につける
最後に、共通テストの過去問や予備校の模試を使って、60分の制限時間内に全問を解ききる練習をします。プログラミングの大問に時間をかけすぎると他の大問に影響するため、1問あたりの時間配分を意識した練習が重要です。

プログラミング未経験でも情報Iで高得点を狙えるか
「プログラミングを学んだことがないけど大丈夫?」という疑問に答えます。
結論:未経験でも対策次第で得点は可能
共通テスト「情報I」は全問マークシート方式であり、実際にプログラムを書くわけではありません。教科書と問題集を使って体系的に学習すれば、プログラミング未経験でも得点することは可能です。
ただし、経験者との差はしっかりある
プログラミング経験者は「感覚的に」コードを読めるのに対し、未経験者は「一行ずつルールに当てはめて読み解く」必要があります。この速度差は試験時間が限られる中で大きなハンデになり得ます。可能であれば、少しでもプログラミングに触れる経験を積んでおくことが望ましいです。
情報I対策でやりがちな失敗パターン
情報Iの勉強で陥りやすい失敗パターンと、その回避方法を紹介します。
失敗1:用語の暗記だけで終わる
知識問題の配点は10点程度しかありません。用語を覚えるだけの学習では、残りの90点分に対応できません。概念を「理解する」学習を心がけましょう。
失敗2:対策を後回しにする
「情報Iは簡単そうだから直前で大丈夫」と後回しにするのは危険です。2026年度は平均点が大幅に下がっており、甘く見ると痛い目を見る科目になっています。早めに対策を始めて、他の受験生と差をつけましょう。
失敗3:プログラミング分野を避ける
「プログラミングは苦手だから他の分野で稼ごう」という戦略は、25点分を捨てることになります。基本的なコードリーディングは練習すれば身につくため、完全に避けるのではなく、基礎だけでも押さえておきましょう。
小中学生のうちからプログラミングを学んでおくメリット
情報Iの対策は高校生になってからでも間に合いますが、小中学生のうちからプログラミングに親しんでおくと、かなり楽になります。
Scratchの経験がある子供は概念理解が早い
Scratchで変数や条件分岐を使ったゲームを作った経験がある子供は、高校でPythonやDNCLに初めて触れたときに「ああ、Scratchのあれと同じことか」とすぐに理解できます。
プログラミング的思考が日常化している
小さいころからプログラミングに触れている子供は、「手順を分解して考える」「場合分けをする」といった思考が自然と身についています。情報Iのアルゴリズム問題に対して、特別な訓練をしなくても対応できるケースが多いです。
プログラミング検定が学習のマイルストーンになる
ジュニア・プログラミング検定やプログラミング能力検定の取得を目指すことで、段階的にスキルアップでき、大学入試に向けた基礎力が自然と身につきます。

Q&A:情報Iとプログラミングに関するよくある質問
Q. 情報Iの対策にはどのプログラミング言語がおすすめですか?
Pythonがおすすめです。文法がシンプルでDNCLとの親和性が高く、初学者でも短期間で基礎を身につけられます。Scratchの経験がある場合は、ScratchからPythonへのステップアップがスムーズです。
Q. プログラミングを学ぶのに何時間くらい必要ですか?
情報Iのプログラミング問題に対応するレベルなら、Pythonの基礎(変数・条件分岐・繰り返し・リスト・関数)を20〜30時間程度で学べます。週2〜3時間のペースなら2〜3ヶ月で基礎が身につきます。
Q. プログラミング教室に通う必要はありますか?
情報I対策が目的であれば、独学でも十分対応可能です。ただし、一人で学習するのが苦手な場合や、効率よく体系的に学びたい場合は、プログラミング教室やオンラインスクールの活用も選択肢の一つです。
Q. Scratchの経験は情報Iに役立ちますか?
Scratchで変数や条件分岐を使ったゲームを作った経験は、情報Iのプログラミング問題を理解するうえでかなり役立ちます。DNCLの記法はScratchのブロックをテキストにしたような構造になっているため、Scratch経験者は理解が速い傾向があります。
Q. 情報Iの学習にかかる時間の目安は?
高3の受験期に集中して対策する場合、50〜80時間程度(3〜4ヶ月×週4〜5時間)が目安です。ただし、高1・高2のうちから定期テスト対策をきちんとやっていれば、受験直前の追加学習は20〜30時間で済むケースもあります。早めに手をつけるほど負担は軽くなります。
まとめ
情報Iの対策にプログラミング学習は非常に有効です。共通テストのプログラミング問題は「コードを読む力」が問われるため、実際にプログラムを書いた経験がある人ほど有利になります。
Pythonの基礎を学び、基本的なアルゴリズムを理解し、DNCLの記法に慣れるというステップで対策を進めましょう。小中学生のうちからプログラミングに親しんでおくと、高校での学習が格段に楽になります。
参考リンク:Python公式サイト、プログラミング能力検定、大学入試センター


