「AIってなんだか難しそう…」と思っているお子さんに朗報です。実はScratchを使えば、機械学習(AI)の基本的な仕組みを遊びながら体験することができます。
ML2ScratchやTeachable Machineなどのツールを使うと、Scratchのブロックプログラミングだけで画像認識や音声認識のAIを作ることができます。Pythonなどのプログラミング言語を覚える必要はなく、小学生でも取り組める内容です。
この記事では、ScratchでAIを体験するための方法と、具体的なプロジェクトの作り方を初心者向けに解説します。

ScratchでAIを使う方法の全体像
ScratchでAI(機械学習)を体験する方法は主に3つあります。それぞれ特徴が異なるので、お子さんの年齢や目的に合わせて選びましょう。
| ツール名 | 特徴 | 対象年齢の目安 |
|---|---|---|
| Teachable Machine + Scratch | Googleが提供する画像・音声の学習ツール。Scratchと連携可能 | 小学3年生〜 |
| ML2Scratch | Scratch上で直接機械学習ができる拡張版Scratch | 小学4年生〜 |
| Stretch3(TM2Scratch等) | Teachable Machineの学習モデルをScratchで使える拡張版 | 小学4年生〜 |
どのツールも無料で利用でき、ブラウザ上で動作するため特別なソフトのインストールは不要です。
ただし、どのツールもカメラが前提になります。デスクトップPCで取り組む場合や、ノートPCの内蔵カメラでは角度が足りない場合は、位置を自由に動かせる外付けのWebカメラを用意しておくと学習用の画像を撮りやすくなります。
方法1:Teachable Machine + Scratchで画像認識AIを作る
Teachable MachineはGoogleが提供する機械学習ツールで、Webカメラの映像を使って画像認識モデルを簡単に作れます。
Teachable Machineの使い方
- Teachable Machineのサイトにアクセスする
- 「画像プロジェクト」を選択する
- 「Class 1」にグー、「Class 2」にチョキ、「Class 3」にパーの画像を撮影する(各クラス30枚以上推奨)
- 「モデルをトレーニングする」ボタンで学習を実行する
- 学習が完了したら「モデルをエクスポートする」でURL付きでアップロードする
Scratchとの連携
作成したモデルは、TM2Scratch(Stretch3)を使ってScratchのブロックから呼び出せます。「画像の分類結果が○○のとき」というブロックを使い、認識結果に応じてキャラクターを動かすプログラムが作れます。
じゃんけんゲームを作る場合、「カメラに映った手がグーなら→コンピューターはパーを出す」というように条件分岐でプログラムを組みます。AIが画像を認識し、Scratchのプログラムがゲームのロジックを担当する仕組みです。
方法2:ML2Scratchで直接機械学習を体験する
ML2Scratchは、Scratch上で直接画像の学習と認識ができるツールです。別のサイトでモデルを作る手間がなく、Scratchの画面内で完結するのが利点です。
ML2Scratchの基本的な使い方
- ML2Scratchのサイトにアクセスする
- カメラへのアクセスを許可する
- 「ラベル1を学習」ボタンを押しながら、認識させたい物や手のポーズをカメラに映す
- 「ラベル2を学習」で別の物やポーズを学習させる
- 学習が完了したら、ブロックプログラミングで認識結果に応じた動作を作る
ML2Scratchの魅力は「学習→認識→プログラム作成」のすべてが一つの画面でできることです。AIの学習過程を直感的に理解できるので、機械学習の入門に向いています。

具体例:AIじゃんけんゲームを作ろう
AIを活用したプロジェクトとして、カメラに手を映すと認識してじゃんけんをしてくれるゲームを作ってみましょう。
完成イメージ
- プレイヤーがカメラの前でグー・チョキ・パーのいずれかを出す
- AIが手の形を認識する
- コンピューターがランダムに手を出す
- 勝敗を判定して結果を表示する
AIの認識精度を上げるコツは、学習時にさまざまな角度や距離で手を映すことです。明るさや背景が変わっても認識できるよう、多めにデータを学習させましょう。
「なぜ枚数を増やすと当たるようになるのか」まで踏み込みたくなったら、イラストでAIの学習の流れを追える子ども向けの本が説明の助けになります。
具体例:体の動きで操作するゲーム
カメラの前で体を動かすと、その動きをAIが認識してゲーム内のキャラクターが動く作品も作れます。
作れるプロジェクトの例
- 手を左右に振るとキャラクターが左右に移動するゲーム
- ジャンプのポーズをするとキャラクターがジャンプするアクションゲーム
- 指の本数を認識してクイズに答えるアプリ
- 表情を認識して「笑顔なら花が咲く」アート作品
AIプログラミングで身につく力
- AIの仕組みの基本理解:「データを与えて学習させる→判断させる」という流れを体験できる
- データの重要性:学習データが少ないと認識精度が下がることを実感できる
- 条件分岐の応用:AIの判定結果に応じて処理を分ける論理的思考が身につく
- 試行錯誤の力:うまく認識されないときに「なぜだろう?」と考える習慣がつく
ここまで体験したあと「中身のアルゴリズムも知りたい」と言い出したら、数式より図と例え話で進むタイプのやさしい機械学習の入門書が次の一冊になります。
ML2ScratchやTeachable Machineを使う際はWebカメラが必要です。また、学習データ(画像)はブラウザ内で処理されますが、お子さんの顔写真などが含まれる場合はプライバシーに配慮してください。作品を公開する際は、カメラ映像が含まれないよう注意しましょう。

Q&A:ScratchのAI機能に関するよくある質問
Q. 通常のScratch(scratch.mit.edu)にAI機能はありますか?
Scratch公式にはビデオモーションセンサー(動きの検出)はありますが、画像認識AIの機能は搭載されていません。AI機能を使うには、ML2ScratchやStretch3などの拡張版Scratchを利用する必要があります。
Q. 何歳くらいから取り組めますか?
通常のScratch操作に慣れていれば、小学3〜4年生から取り組めます。最初は保護者と一緒にTeachable Machineでデータを作るところから始めるとよいでしょう。
Q. スマートフォンやタブレットでも使えますか?
ML2ScratchやTeachable MachineはWebカメラを使用するため、パソコンでの利用が推奨されます。タブレットのカメラでは動作が不安定な場合があります。
まとめ
ScratchとAI(機械学習)の組み合わせは、子どもたちがAI技術を身近に感じる第一歩として最適です。Teachable MachineやML2Scratchを使えば、難しいプログラミング言語を覚えなくても「AIに学習させる→判断させる」という基本的な流れを体験できます。
じゃんけんゲームや体の動きで操作するゲームなど、楽しいプロジェクトを通じてAIの仕組みを学んでみてください。「AIは自分で作れるもの」という実感は、これからの時代を生きる子どもたちにとって大きな財産になるはずです。



