「Scratchの基本操作は覚えたけど、何を作ればいいかわからない…」と手が止まってしまうお子さんは多いものです。自由に作れると言われると、かえって何を作ればいいか迷ってしまうのは大人でも同じですよね。
Scratchの上達に最も効果的なのは、実際に作品を完成させることです。完成品を作り上げる過程で、新しいブロックの使い方や組み合わせ方を自然と覚えていきます。
この記事では、Scratch初心者でも作れる簡単な作品から、少しステップアップした作品まで、難易度別に紹介します。「こんなものが作れるんだ!」というワクワク感を感じてもらえたら嬉しいです。

難易度別おすすめ作品一覧
まずは全体像を把握しましょう。難易度を3段階に分けて、おすすめ作品を整理します。
| 難易度 | 作品の種類 | 目安の制作時間 | 学べるスキル |
|---|---|---|---|
| 初級 | 自己紹介アニメーション | 15〜30分 | 見た目ブロック、セリフ表示 |
| 初級 | ダンスパーティー | 20〜40分 | 繰り返し、コスチューム変更 |
| 初級 | おみくじ | 20〜30分 | 乱数、条件分岐 |
| 中級 | 追いかけっこゲーム | 30〜60分 | キー操作、当たり判定、スコア |
| 中級 | クイズゲーム | 30〜60分 | 変数、入力受付、条件分岐 |
| 中級 | お絵描きツール | 30〜45分 | ペン機能、マウス座標 |
| 上級 | シューティングゲーム | 60〜120分 | クローン、タイマー、複数スプライト管理 |
| 上級 | アクションゲーム | 60〜120分 | 重力表現、ステージ切替、スクロール |
【初級】自己紹介アニメーション
Scratchに初めて触れるお子さんにぴったりの最初の作品です。キャラクターが自分の名前や好きなものを紹介するアニメーションを作ります。
作り方のポイント
- 「(旗)が押されたとき」でスタートする
- 「(こんにちは!)と(2)秒言う」ブロックを繋げてセリフを順番に表示する
- 背景を変えたり、キャラクターの大きさを変えたりして演出を加える
- 好きなBGMを追加すると雰囲気がアップする
「見た目」カテゴリのブロックだけで完成できるので、ブロックの使い方に慣れるための最初の練習として最適です。完成したら友達や家族に見せてみましょう。
【初級】ダンスパーティー
複数のキャラクターが音楽に合わせて踊るアニメーションです。Scratchエディタのチュートリアルにも「ダンスをつくろう」があるので、そちらを参考にしながら進めてもOKです。
作り方のポイント
- 好きなスプライトを3〜4体追加する
- 各スプライトに「ずっと」+「次のコスチュームにする」+「(0.3)秒待つ」を設定する
- 音楽を追加して「ずっと」ループで再生する
- 背景の色を変えるブロックでライトアップ効果を出す
「繰り返し」の概念と「複数のスプライトが同時に動く」という並列処理の感覚が身につきます。音楽好きなお子さんは特に楽しめる作品です。

【初級】おみくじ
ボタンを押すとランダムで運勢が表示されるおみくじです。「乱数」と「条件分岐」を初めて使う作品として人気があります。
作り方のポイント
- 「(1)から(5)までの乱数」ブロックで数字をランダムに生成する
- 「もし〜なら」ブロックで数字に応じたメッセージを表示する
- 1=大吉、2=吉、3=中吉、4=小吉、5=凶のように割り当てる
- おみくじを引くときの効果音を追加するとリアリティが増す
「乱数」は今後のゲーム作りで頻繁に使う超重要ブロックです。ここでしっかり使い方を覚えておきましょう。おみくじの結果を増やしたり、イラスト付きにしたりするアレンジも楽しいです。
【中級】追いかけっこゲーム
矢印キーで自分のキャラクターを操作し、迫ってくる敵から逃げるゲームです。「ゲーム作り」の基本要素をすべて含んでいるので、中級の最初の作品としておすすめです。
必要なスキル
| スキル | 使うブロック | 役割 |
|---|---|---|
| キー操作 | 「もし(上矢印)キーが押されたなら」 | プレイヤーの移動 |
| 自動追尾 | 「(プレイヤー)へ向ける」+「(3)歩動かす」 | 敵がプレイヤーを追いかける |
| 当たり判定 | 「もし(プレイヤー)に触れたなら」 | ゲームオーバーの条件 |
| スコア管理 | 変数「スコア」を作成 | 生き残った時間をカウント |
改造アイデア
- 敵の数を増やして難易度アップ
- 時間経過とともに敵のスピードが上がる仕組みを追加
- アイテムを取るとスコアがボーナス加算される
- ゲームオーバー画面を作ってハイスコアを表示する

【中級】クイズゲーム
問題を表示して、プレイヤーが答えを入力するクイズゲームです。「聞いて待つ」ブロックと「答え」ブロックを使います。
作り方のポイント
- 「(日本の首都は?)と聞いて待つ」で問題を出す
- 「もし(答え)=(東京)なら」で正誤判定を行う
- 変数「スコア」で正解数をカウントする
- 全問終了後に「あなたのスコアは(スコア)点です!」と表示する
自分の好きなテーマ(動物・歴史・アニメなど)でオリジナルクイズを作ると、作る過程で知識も増えて一石二鳥です。Scratchコミュニティのゲーム一覧で他の人が作ったクイズ作品を参考にすることもできます。友達に遊んでもらうと、フィードバックをもらえてさらに改良のモチベーションが上がります。
【中級】お絵描きツール
マウスで画面に自由に絵が描けるツールです。Scratchの「ペン」拡張機能を使います。
作り方のポイント
- 「拡張機能を追加」からペン機能を有効にする
- 「ずっと」+「マウスのポインターへ行く」でペンがマウスに追従する
- 「もしマウスが押されたなら」「ペンを下ろす」「でなければ」「ペンを上げる」で描画制御
- キー操作で色や太さを変更する機能を追加する
「ゲーム以外のツール」を作る体験ができるので、プログラミングの可能性の広さに気づくきっかけになります。
【上級】シューティングゲーム
自機から弾を発射して、飛んでくる敵を倒すシューティングゲームです。「クローン」機能を使う本格的な作品です。
必要な新スキル
- クローン:弾や敵をコピーして複数表示する技術。「自分自身のクローンを作る」ブロックを使う
- クローン処理:「クローンされたとき」ブロックで、各クローンの動作を定義する
- 削除:画面外に出たクローンは「このクローンを削除する」で消す(パフォーマンス対策)
Scratchでは同時に存在できるクローンの数に上限(約300個)があります。弾や敵を大量に出しすぎると動作が重くなるので、不要になったクローンはこまめに削除しましょう。
【上級】アクションゲーム(横スクロール)
キャラクターがジャンプしながら障害物を避けて進む、横スクロールアクションゲームです。重力の表現やステージの切り替えなど、高度なテクニックが必要ですが、完成したときの達成感は格別です。
実装のポイント
- 変数「Y速度」を使って重力を表現する(毎フレームY速度に-1を足し、Y座標にY速度を足す)
- 地面との当たり判定で「Y速度を0にする」ことで着地を表現
- ジャンプは「Y速度を10にする」で実装
- 背景やオブジェクトをスクロールさせることで進行感を出す
- 初級→中級→上級の順に進めると、スキルが自然と積み上がる
- 1つの作品を完成させてから次に進むこと。途中で別の作品に手を出すと中途半端になりやすい
- 完成した作品はScratchコミュニティに公開してフィードバックをもらおう
- 他の人の作品を「リミックス(改造)」するのも上達の近道

作品作りで上達するためのコツ
他の人の作品を見て学ぶ
Scratchコミュニティには世界中の子供たちが作った作品が公開されています。気になる作品の「中を見る」ボタンを押すと、どんなブロックが使われているか確認できます。上手な人のプログラムを読むのは、最高の学習方法の一つです。
「リミックス」を活用する
Scratchには「リミックス」機能があり、他の人の作品をコピーして自分なりにアレンジできます。ゼロから作るのが難しいと感じたら、まずは既存の作品をリミックスして、少しずつ変えていくのがおすすめです。
失敗を楽しむ
思い通りに動かないのは当たり前。バグを見つけて直すプロセスこそがプログラミングの醍醐味です。「なんで動かないんだろう?」と考える時間が、一番力がつく時間です。
よくある質問(FAQ)
Q. Scratchで作った作品を販売できますか?
A. Scratchの利用規約上、Scratch上の作品を直接販売することはできません。ただし、Scratchで学んだスキルを活かして、他のツールで作品を作り販売することは自由です。
Q. 作品を作るのにどのくらいの時間がかかりますか?
A. 初級の作品なら15〜30分、中級で30〜60分、上級で1〜2時間が目安です。ただし、改良を重ねたりオリジナル要素を追加したりすると、何時間でも楽しめます。
Q. 他の人の作品を参考にしてもいいですか?
A. Scratchコミュニティでは、作品のコードを見て学ぶこと、リミックスすることが推奨されています。ただし、そのまま自分の作品として公開するのはマナー違反です。リミックスした場合は元の作品へのクレジットが自動で記録されます。
Q. Scratchで作れないものはありますか?
A. 3Dゲームや高度なネットワーク通信を伴うアプリケーションなどは難しいです。ただし、2Dのゲーム・アニメーション・音楽・アート作品など、子供が楽しめる範囲の作品はほぼ何でも作れます。
Q. 初級の作品が簡単すぎて飽きてしまいます。
A. 中級に進みましょう。初級で基本操作を覚えたら、追いかけっこゲームやクイズゲームに挑戦してみてください。変数や当たり判定を使うことで、ぐっと本格的な作品になります。
まとめ:まずは1つ、作品を完成させよう
- 最初は自己紹介アニメーションやおみくじなど初級作品からスタート
- 基本を覚えたら追いかけっこゲームやクイズゲームにステップアップ
- 上級ではクローンや重力表現を使った本格ゲームに挑戦
- 他の人の作品を「中を見る」で学び、リミックスで改造するのも上達の近道
- 1つの作品を完成させてから次に進むのが効率的な学習法
- 失敗は上達のチャンス。バグ探しを楽しもう
「何を作ればいいかわからない」と迷ったら、この記事の初級作品から一つ選んで作ってみてください。完成したら次の難易度に挑戦して、少しずつできることを増やしていきましょう。


