「Scratchでゲームを作ってみたい!」と思っているお子さんは多いのではないでしょうか。ゲームで遊ぶのは楽しいですが、自分でゲームを「作る」体験はそれ以上にワクワクするものです。
Scratchなら、プログラミング初心者でも本格的なゲームが作れます。ブロックを組み合わせるだけなので、キーボードでコードを打つ必要はありません。この記事で紹介する手順に沿って進めれば、約1時間で遊べるゲームが完成します。
今回は「キャッチゲーム」と「迷路ゲーム」の2つを、初心者向けにステップごとに解説します。どちらも基本的なブロックだけで作れるので、Scratchに触り始めたばかりの方でも安心して取り組めます。

ゲーム作りに必要な基礎知識
ゲームを作る前に、Scratchのゲーム作りで使う基本的な仕組みを押さえておきましょう。
| 仕組み | 使うブロック | ゲームでの役割 |
|---|---|---|
| キー操作 | 「もし(矢印キー)が押されたなら」 | プレイヤーを動かす |
| 当たり判定 | 「もし(スプライト名)に触れたなら」 | 敵やアイテムとの接触を検知する |
| 変数 | 「変数を作る」→「スコア」 | 得点や残機を管理する |
| 乱数 | 「(1)から(10)までの乱数」 | 敵やアイテムをランダムに配置する |
| 繰り返し | 「ずっと」「(10)回繰り返す」 | ゲームのメインループを作る |
| 条件分岐 | 「もし〜なら」「もし〜なら、でなければ」 | ゲームオーバーやクリアの判定 |
これらの6つの仕組みを組み合わせるだけで、様々なゲームが作れます。最初は全部を使わなくてもOK。使えるものから少しずつ取り入れていきましょう。
【ゲーム1】キャッチゲームを作ろう
上から降ってくるリンゴを、左右に動くバスケットでキャッチするゲームです。Scratchでのゲーム作りの入門として最適な作品で、約30〜45分で完成します。
完成イメージ
- 画面上からリンゴがランダムな位置に降ってくる
- プレイヤーは左右の矢印キーでバスケットを操作する
- リンゴをキャッチするとスコアが1点加算される
- リンゴが地面に落ちるとゲームオーバー
ステップ1:スプライトと背景を準備する
Scratchエディタを開き、以下の準備をします。
- デフォルトのネコを削除する(右クリック→「削除」)
- スプライトライブラリから「Apple」(リンゴ)を追加する
- スプライトライブラリから「Bowl」(ボウル)または好きなキャラクターを追加する(バスケット役)
- 背景を「Blue Sky」など好きなものに変更する
ステップ2:バスケットを左右に動かす
バスケットのスプライトを選択し、以下のブロックを組みます。
バスケットのプログラム構成:
- 「(旗)が押されたとき」
- 「y座標を(-150)にする」(画面下部に配置)
- 「ずっと」の中に以下を入れる:
- 「もし(左向き矢印)キーが押されたなら」→「x座標を(-10)ずつ変える」
- 「もし(右向き矢印)キーが押されたなら」→「x座標を(10)ずつ変える」
緑の旗を押して、左右の矢印キーでバスケットが動くことを確認しましょう。
ステップ3:リンゴを上から降らせる
リンゴのスプライトを選択し、以下のプログラムを作ります。
リンゴのプログラム構成:
- 「(旗)が押されたとき」
- 「ずっと」の中に以下を入れる:
- 「x座標を((-200)から(200)までの乱数)、y座標を(180)にする」(ランダムな位置から開始)
- 「表示する」
- 「(y座標)が(-170)より小さくなるまで繰り返す」の中に「y座標を(-5)ずつ変える」
- 「隠す」
これでリンゴが画面上部のランダムな位置から落ちてきて、画面下部に到達したら消える動きが完成します。

ステップ4:当たり判定とスコアを追加する
リンゴのプログラムに当たり判定を追加します。
- 変数「スコア」を作成する(「変数」カテゴリ→「変数を作る」)
- 旗が押されたとき、「スコアを(0)にする」を追加
- リンゴが落下するループの中に「もし(Bowl)に触れたなら」ブロックを追加
- 触れた場合:「スコアを(1)ずつ変える」→キャッチ音を鳴らす→「隠す」→ループを抜ける
ステップ5:ゲームオーバーを実装する
リンゴが地面(画面下部)に到達したときにゲームオーバーにします。
- リンゴが画面下部に到達(バスケットに触れずに-170以下になった)したら
- 「(ゲームオーバー!スコア:)と(スコア)を合わせて(2)秒言う」を表示
- 「すべてを止める」ブロックでゲームを停止する
ステップ6:改良してもっと面白くしよう
基本形ができたら、以下の改良に挑戦してみましょう。
- 落下スピードを徐々に速くする:変数「スピード」を作り、スコアが上がるごとに速度を上げる
- 爆弾を追加する:取るとゲームオーバーになるスプライトを追加して避ける要素を加える
- BGMを追加する:ゲーム中に音楽を流す
- タイトル画面を作る:「スペースキーでスタート」の画面を最初に表示する

【ゲーム2】迷路ゲームを作ろう
キャラクターを操作して、壁に触れないようにゴールを目指す迷路ゲームです。迷路ゲームは「背景を迷路にする」という発想がポイントで、当たり判定も色で行うため初心者にも取り組みやすい構造になっています。
ステップ1:迷路の背景を描く
- ステージの「背景」タブをクリックする
- 「描く」を選択して、ペイントエディタを開く
- 背景全体を白で塗りつぶす
- 黒色で迷路の壁を描く(線ツールや四角ツールを使う)
- スタート地点に緑の丸、ゴール地点に赤の丸を描く
壁の線は太めに描きましょう(10ピクセル以上推奨)。線が細すぎると、キャラクターがすり抜けてしまうことがあります。最初はシンプルな迷路から始めて、慣れたら複雑にしていくのがおすすめです。
ステップ2:プレイヤーのプログラムを作る
小さめのスプライト(ボールやドットなど)を選んで、以下のプログラムを組みます。
プレイヤーのプログラム構成:
- 「(旗)が押されたとき」→スタート位置に移動
- 「ずっと」の中に4つの方向キー判定を入れる:
- 上矢印→「y座標を(3)ずつ変える」
- 下矢印→「y座標を(-3)ずつ変える」
- 左矢印→「x座標を(-3)ずつ変える」
- 右矢印→「x座標を(3)ずつ変える」
ステップ3:壁との当たり判定を追加する
「もし(黒)色に触れたなら」ブロックを使って、壁に触れたらスタート地点に戻る仕組みを作ります。
- 「調べる」カテゴリの「(色)に触れた」ブロックで黒色を指定する
- 黒色に触れたら「x座標を(スタートのX)、y座標を(スタートのY)にする」で戻す
ステップ4:ゴール判定を追加する
「もし(赤)色に触れたなら」で、ゴール地点に到達したかどうかを判定します。
- 赤色に触れたら「(クリア!おめでとう!)と(2)秒言う」を表示
- 「すべてを止める」でゲームを終了する
改良アイデア
- タイマーを追加する:クリアまでの時間を表示して、タイムアタックにする
- 複数ステージを作る:背景を切り替えることで、だんだん難しくなる迷路に
- 動く壁を追加する:スプライトで壁を作り、動かすことで難易度アップ
- アイテム収集要素:迷路内にアイテムを配置し、全部集めるとクリアになる仕組み
ゲーム作りをもっと楽しくするヒント
効果音とBGMにこだわる
ゲームの印象を大きく左右するのが音です。アイテム取得音、ゲームオーバー音、BGMを追加するだけで、完成度がグッと上がります。Scratchに用意されている音から選ぶだけなので、手軽に試せます。Freesoundなどの無料効果音サイトから音をダウンロードしてScratchに取り込むこともできます。
タイトル画面を作る
ゲーム名とスタートボタンを表示するタイトル画面があると、一気に「ちゃんとしたゲーム」感が出ます。「メッセージ」ブロックを使って、タイトル画面からゲーム画面への切り替えを制御します。
友達に遊んでもらう
自分だけで遊んでいると気づかないバグや改善点が、他の人に遊んでもらうと見つかります。ユーザーテストはプロのゲーム開発でも行われている重要なプロセスです。Scratchの「共有」ボタンで作品を公開すれば、Scratchコミュニティの世界中のユーザーからフィードバックをもらえます。

よくある質問(FAQ)
Q. ゲーム作りに必要なプログラミングの知識はどのくらい?
A. Scratchの基本操作(ブロックの配置・実行・保存)ができれば始められます。この記事で紹介したキャッチゲームは「動き」「イベント」「制御」「変数」の4カテゴリだけで作れます。
Q. ゲームがうまく動かないときはどうすればいいですか?
A. まず「旗が押されたとき」ブロックが正しく配置されているか確認しましょう。次に、ブロックを一つずつ実行してどこでおかしくなるか特定します。特に「もし〜なら」の条件が正しいかどうかをチェックしてみてください。
Q. Scratchで3Dゲームは作れますか?
A. Scratchは基本的に2D専用です。擬似的な3D表現(遠近法やスプライトの拡大縮小)は可能ですが、本格的な3Dゲームには向いていません。3Dゲームに興味があるなら、Scratchで基礎を固めた後にUnityなどのゲームエンジンに進むのがおすすめです。
Q. 何個くらいゲームを作れば上級者になれますか?
A. 個数の目安はありませんが、5〜10個の異なるジャンルのゲームを完成させると、かなりの実力が身につきます。同じジャンルを何個も作るより、キャッチゲーム→クイズ→シューティング→アクションのように様々なジャンルに挑戦するのが効果的です。
Q. ゲーム作りは子供一人でもできますか?
A. 初級のゲームなら小学校中学年以上で一人でも取り組めます。ただし、最初は親子で一緒に作ることをおすすめします。困ったときに相談できる相手がいると、挫折しにくくなります。
Q. Scratchのゲーム作りはプログラマーへの第一歩になりますか?
A. なり得ます。Scratchで学ぶ「変数」「条件分岐」「繰り返し」「関数(ブロック定義)」は、すべてのプログラミング言語に共通する概念です。Scratchでこれらを体感的に理解しておくと、PythonやJavaScriptなどの本格的な言語への移行がスムーズになります。
まとめ:ゲーム作りは最高のプログラミング学習
- キー操作・当たり判定・変数・乱数・繰り返し・条件分岐の6要素でゲームが作れる
- キャッチゲームはゲーム作り入門に最適(30〜45分で完成)
- 迷路ゲームは色の当たり判定を学べる(背景を描く楽しさもある)
- 基本形ができたら改良・改造でオリジナリティを出す
- 効果音・BGM・タイトル画面を追加すると完成度が大幅アップ
- 友達に遊んでもらってフィードバックを受けるのも大事
ゲーム作りは、プログラミングの基礎知識を楽しみながら身につけられる最高の学習方法です。この記事のキャッチゲームを作るところから、ゲーム開発者への第一歩を踏み出してみてください。


