小学校でプログラミング教育が必修化され、家庭でもプログラミング学習に取り組ませたいと考える保護者の方が増えています。しかし、教材やアプリ、教室など選択肢が多すぎて、何から始めればいいのか迷ってしまうのも無理はありません。
プログラミング学習と一口にいっても、ビジュアルプログラミングで遊び感覚で学べるものから、本格的なコードを書くものまでさまざまです。お子さんの学年や興味に合った方法を選ぶことが、楽しく続けるための第一歩になります。
この記事では、小学生のプログラミング学習におすすめの教材・アプリ・教室をそれぞれ比較しながら紹介します。お子さんに合った学び方を見つけるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
小学生がプログラミングを学ぶメリットとは
プログラミング学習は、単にコンピュータの操作を覚えるだけではありません。論理的思考力や問題解決力、創造力など、あらゆる場面で役立つ力を育むことができます。ここでは、小学生がプログラミングを学ぶことで得られる具体的なメリットを紹介します。
論理的思考力が身につく
プログラミングでは、目的の動作を実現するために手順を一つずつ考え、組み立てていく必要があります。この過程が論理的に考える力を自然と鍛えてくれます。算数の文章問題や理科の実験レポートなど、学校の勉強にも直結するスキルです。
例えば、キャラクターを画面上で動かすプログラムを作る場合、「右に50歩進む→90度回転→上に30歩進む」のように、動きを分解して考える必要があります。こうした経験を積むことで、複雑な問題を小さなステップに分けて解決する力が身についていきます。
創造力と表現力が伸びる
プログラミングはものづくりの手段でもあります。自分のアイデアをゲームやアニメーション、アプリとして形にできる体験は、子供にとって大きな達成感につながります。「こんなものを作りたい」という発想力と、それを実現するための工夫する力が同時に育まれます。

将来の選択肢が広がる
IT人材の需要は今後もますます高まると予測されています。経済産業省の調査によると、2030年にはIT人材が最大79万人不足するとされており、プログラミングスキルは将来の大きな武器になります。小学生のうちから基礎を学んでおくことで、中学・高校での情報科目にもスムーズに対応でき、進路の選択肢が広がります。
小学生におすすめのプログラミング教材5選
自宅でマイペースに学びたい場合は、プログラミング教材を活用するのがおすすめです。書籍型、キット型、オンライン教材など、さまざまなタイプがあります。ここでは小学生向けに特におすすめの教材を紹介します。
Scratch(スクラッチ)
MITメディアラボが開発した、世界中で最も使われているビジュアルプログラミング言語です。ブロックをドラッグ&ドロップで組み合わせるだけでプログラムが作れるため、タイピングが苦手な低学年のお子さんでも直感的に操作できます。無料で使えるのも大きな魅力です。
公式サイト(scratch.mit.edu)では、世界中のユーザーが作った作品を見たり、自分の作品を公開したりすることもできます。コミュニティが活発なので、他の人の作品からインスピレーションを得ながら学べます。
レゴ エデュケーション SPIKEプライム
レゴブロックとプログラミングを組み合わせた教材で、ロボットを組み立てて動かす体験ができます。モーターやセンサーを使った本格的なロボット制作が可能で、手を動かしながら学びたいお子さんに向いています。対象年齢は10歳以上で、小学校高学年におすすめです。
マイクロビット(micro:bit)
イギリスBBCが教育用に開発した小型コンピュータボードです。LEDやセンサーが搭載されており、プログラムを書いて実際にハードウェアを制御する体験ができます。価格も3,000円前後と手頃で、はじめてのプログラミング体験に最適です。
Microsoft MakeCodeというブラウザ上のエディタを使えば、ブロック型プログラミングとJavaScriptの両方で開発でき、ステップアップにも対応しています。
Viscuit(ビスケット)
NTTの研究所で開発された日本発のプログラミング言語で、絵を描いて動かすというシンプルな操作が特徴です。文字の読み書きが難しい低学年や就学前のお子さんでも取り組めます。アプリ版もあり、タブレットで気軽に始められます。
プログラミングゼミ
DeNAが開発した無料のプログラミング学習アプリです。パズル形式の課題をクリアしながらプログラミングの基礎概念を学べます。小学校低学年から使えるよう設計されており、段階的にレベルアップしていく構成になっています。

小学生におすすめのプログラミングアプリ5選
タブレットやスマートフォンで手軽に学べるプログラミングアプリは、移動中や隙間時間にも活用できる便利な学習ツールです。ゲーム感覚で楽しめるものが多いため、飽きっぽいお子さんでも続けやすいのが特徴です。
ScratchJr(スクラッチジュニア)
Scratchの低年齢版で、5〜7歳を対象に設計されたアプリです。文字が読めなくてもアイコンを見ながら操作でき、キャラクターを動かすストーリーやゲームを作れます。iPadやAndroidタブレットで無料で使えます。
Springin’(スプリンギン)
しくみデザインが開発した、絵を描いて物理演算ベースのゲームを作れるアプリです。直感的な操作で複雑な仕組みのゲームが作れるため、プログラミングの楽しさを実感しやすいアプリといえます。コンテストも定期的に開催されており、モチベーション維持にもつながります。
Code.org
アメリカの非営利団体が運営するプログラミング学習プラットフォームです。「Hour of Code」というイベントでも知られており、マインクラフトやスター・ウォーズなどの人気コンテンツを題材にしたコースが用意されています。日本語にも対応しており、ブラウザから無料でアクセスできます(code.org)。
Swift Playgrounds
Apple社が提供する無料のプログラミング学習アプリで、iPadやMacで利用できます。パズル形式の課題を通じてSwift言語の基礎を学べます。小学校高学年以上が対象で、本格的なプログラミング言語に触れさせたい場合におすすめです。
Progate(プロゲート)
スライド形式の解説と実践的なコーディング課題を交互に進める学習サービスです。HTML/CSSやJavaScriptなどのWeb系言語を学べます。無料プランでも基礎レベルのレッスンが受けられるため、テキストベースのプログラミングに初めて挑戦する小学校高学年に適しています。
- 低学年にはScratchJrやViscuitなど、文字を使わないアプリが最適
- 中〜高学年にはScratchやCode.orgでステップアップ
- 高学年でテキスト言語に挑戦したい場合はSwift PlaygroundsやProgateがおすすめ
- 無料アプリから始めて、興味を持ったら有料教材や教室を検討するのが賢い進め方
小学生におすすめのプログラミング教室の選び方
自宅学習だけでは物足りない、講師から直接教わりたいという場合は、プログラミング教室に通う選択肢もあります。ただし教室によって内容や料金は大きく異なるため、比較検討が大切です。
教室のタイプを知る
プログラミング教室には大きく分けて「通学型」「オンライン型」「ハイブリッド型」の3種類があります。通学型は講師と対面でやりとりでき、集中しやすい環境が整っています。オンライン型は自宅から受講できるため、近くに教室がない地域でも利用できます。ハイブリッド型は両方を組み合わせたもので、柔軟にスケジュールを組めるメリットがあります。
カリキュラムの段階性を確認する
最初はScratchで基礎を学び、その後PythonやJavaScriptなどのテキスト言語にステップアップできるカリキュラムが理想的です。成長に合わせて長く通える教室を選ぶことで、途中で教室を変える手間が省けます。

料金相場を把握する
小学生向けプログラミング教室の月謝は、おおむね8,000円〜18,000円が相場です。これに加えて入会金が5,000円〜15,000円、教材費が月1,000円〜3,000円程度かかるケースが一般的です。オンライン型は通学型より月謝が抑えめの傾向にあります。
主な大手プログラミング教室の特徴
全国展開している大手教室にはそれぞれ特色があります。QUREOプログラミング教室はゲーム感覚で学べるカリキュラムが魅力で、全国3,000教室以上と通いやすさも抜群です。テックキッズスクールはサイバーエージェントが運営しており、より実践的なプログラミングを学べます。
ヒューマンアカデミージュニアはロボット制作と組み合わせたカリキュラムが特徴で、ものづくりが好きなお子さんに人気があります。LITALICOワンダーは個別指導で一人ひとりのペースに合わせて進められるため、マイペースなお子さんにも安心です。
小学生のプログラミング学習で保護者が気をつけたいポイント
プログラミング学習を始めるにあたり、保護者としてどのようなサポートをすればよいか悩むことも多いでしょう。ここでは、お子さんの学習を長く続けるために意識しておきたいポイントをまとめました。
成果を急がない
プログラミングはすぐに目に見える成果が出るとは限りません。特に始めたばかりの頃は、エラーが出て思い通りに動かないことも日常茶飯事です。「なぜうまくいかないのか」を考えるプロセス自体が学びになっているため、結果よりも過程を褒めることが大切です。
一緒に楽しむ姿勢を持つ
保護者がプログラミングの知識を持っている必要はありません。お子さんが作った作品を見て感想を伝えたり、「どうやって作ったの?」と質問したりするだけで、モチベーションは大きく上がります。興味を示してくれる人がいるだけで、学び続ける原動力になります。
画面時間の管理をする
プログラミング学習はどうしてもパソコンやタブレットの使用時間が長くなりがちです。日本小児科医会では、連続して画面を見る時間は30分〜1時間程度を目安に休憩を入れることを推奨しています。学習時間と休憩時間のルールをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
プログラミング学習は長時間の画面作業になりやすいため、ブルーライトカットメガネの使用や、部屋の明るさの調整にも配慮しましょう。姿勢が悪くならないよう、椅子や机の高さにも注意が必要です。

学年別おすすめの学習ステップ
小学生といっても1年生と6年生では理解力や興味が大きく異なります。学年に合わせた学習ステップを踏むことで、無理なく楽しみながらスキルを伸ばせます。
小学1〜2年生:遊び感覚でプログラミングに触れる
この年齢では、プログラミングの概念を直接教えるよりも、遊びの延長として触れさせるのが効果的です。ScratchJrやViscuitなど、文字をほとんど使わないアプリで「自分が描いた絵が動く」体験をすると、楽しさを実感できます。アンプラグド(コンピュータを使わない)プログラミング教材も有効で、カードを並べて指示を出すゲームなどが市販されています。
小学3〜4年生:Scratchで本格的にスタート
Scratchを使って、簡単なゲームやアニメーションを作り始めるのに適した時期です。条件分岐やくり返しなどの基本的なプログラミング概念を理解できるようになります。この段階で自分のオリジナル作品を完成させる経験をすると、大きな自信につながります。
小学5〜6年生:テキスト言語への橋渡し
高学年になると、テキストベースのプログラミング言語にも挑戦できます。PythonやJavaScriptは比較的読みやすい言語なので、最初の一歩として適しています。マインクラフトのMOD制作やWebサイト作成など、興味のあるテーマと結びつけると、学習意欲が持続しやすくなります。
プログラミング学習の教材・アプリ・教室を比較
ここまで紹介した3つの学習方法を、さまざまな観点から比較してみましょう。お子さんの性格やライフスタイルに合った方法を選ぶ参考にしてください。
費用面の比較
教材やアプリは無料〜数千円で始められるものが多く、初期投資を抑えたい場合に向いています。教室は月謝がかかりますが、講師のサポートを受けられる点で費用対効果は高いといえます。まずは無料の教材やアプリで興味を確認してから教室を検討するのが、コストパフォーマンスの良い進め方です。
学習効果の比較
独学では自分のペースで進められますが、つまずいたときに解決に時間がかかることがあります。教室では講師がその場でフォローしてくれるため、効率よく学べます。アプリはゲーム感覚で楽しめる反面、体系的な知識の定着には限界がある場合もあります。理想的には、アプリや教材で日常的に触れつつ、教室で体系的に学ぶ組み合わせが最も効果的です。
継続しやすさの比較
お子さんの性格によって継続しやすい方法は異なります。自分で調べるのが好きなお子さんは教材やアプリでの自学が向いていますし、友達と一緒に学びたいお子さんには教室が合っています。複数の方法を試してみて、お子さんが一番楽しいと感じるスタイルを見つけることが大切です。

よくある質問
プログラミング学習は、お子さんの将来の可能性を広げる貴重な経験です。教材・アプリ・教室のいずれを選ぶにしても、最も重要なのはお子さん自身が「楽しい」と感じられるかどうかです。まずは無料のツールやアプリから気軽に始めて、お子さんの反応を見ながら学習環境を整えていきましょう。文部科学省のプログラミング教育に関するページも参考になりますので、あわせてご覧ください。

