「子どもにScratchを教えたいけど、自分もよくわからないし、どう教えたらいいんだろう…」
お子さんにプログラミングを学ばせたいと思いつつ、具体的な教え方がわからなくて困っている保護者の方は多いのではないでしょうか。実は、保護者がプログラミングに詳しくなくても、ちょっとしたコツを押さえるだけで、お子さんの学びは大きく変わります。
この記事では、Scratch(スクラッチ)を子どもに教えるときのポイントや、やりがちだけど避けたほうがいいNG行動について詳しくお伝えしていきます。

大前提:保護者はプログラミングの先生にならなくていい
まず最初にお伝えしたいのが、保護者がプログラミングの専門家である必要はまったくないということです。
Scratchは、子どもが自分の力で学べるように設計されたツールです。公式サイトにはチュートリアルが用意されていますし、ブロックの色や形で機能がわかるようにデザインされています。保護者の役割は「先生」ではなく「応援団」。困ったときに一緒に考え、できたときに一緒に喜ぶ存在でいることが大切です。
実際に、Scratchの開発元であるMITメディアラボでも、保護者が教えすぎないことの重要性が強調されています。子どもが自分で試行錯誤するプロセスこそが、最大の学びになるのです。
Scratchの教え方:5つのポイント
ポイント1:最初は一緒にやってみる
まったく初めてScratchに触れるお子さんには、最初の10〜15分だけ一緒に操作してみましょう。Scratchの公式サイト(scratch.mit.edu)を開いて、「作る」をクリックし、猫のキャラクターを動かすところまでを見せてあげます。
「ここのブロックをこっちに持っていくと動くんだって」「クリックしてみて」と声をかけながら、最初の成功体験を一緒に味わうことが大切です。一度「動いた!」という感覚を掴めば、あとはお子さん自身でどんどん探究し始めます。
ポイント2:答えを教えずにヒントを出す
「猫を右に動かしたいんだけど、うまくいかない」とお子さんが言ったとき、すぐに正解のブロックを教えるのは控えましょう。代わりに、こんな声かけを試してみてください。
- 「青色のブロックの中に、動きに関係しそうなのがないか探してみて」
- 「さっき使ったブロックと似たようなのがあるかも」
- 「試しにこのブロックをクリックしたらどうなると思う?」
こうした問いかけによって、お子さんは自分で考え、発見する喜びを体験できます。この「自分で見つけた」という感覚が、学習意欲の源泉になります。
ポイント3:作品をしっかり見て、具体的に褒める
お子さんが作品を見せてきたとき、「すごいね」のひと言だけで終わらせていませんか?もちろんその気持ちは大切ですが、もう一歩踏み込んだ声かけが効果的です。
- 「この猫がジャンプする動き、どうやって作ったの?」
- 「背景と音楽がぴったり合ってるね」
- 「前に作ったのよりスムーズに動くようになったね」
具体的なポイントを挙げて褒めることで、お子さんは「見てもらえている」という安心感を得られます。プロセスや工夫に注目した声かけが特に効果的です。

ポイント4:別々の作品を作って見せ合う
保護者の方も自分のScratch作品を作ってみましょう。親子で別々の作品を作り、完成したらお互いに見せ合う。これは、Scratchの開発者も推奨している学び方です。
「お父さんのゲーム、ここが面白い!」「お母さんのアニメーション、どうやって色変えたの?」と盛り上がりながら、自然とプログラミングの技術やアイデアを交換できます。「一緒に学ぶ仲間」という関係性が、お子さんの主体性を育てます。
ポイント5:決まった時間に続ける習慣を作る
週末の午前中30分、夕食後の15分など、Scratchに触れる時間を生活の中に組み込むと続けやすくなります。毎日でなくても、週に2〜3回でも十分です。大切なのは「やらなきゃ」ではなく「やりたい」と思える環境を作ることです。
やってはいけないNG行動5選
良かれと思ってやっていることが、実はお子さんの学びを妨げているかもしれません。よくあるNG行動を紹介します。
NG1:手を出しすぎる
「ここはこうしたほうがいいよ」「こっちのブロックを使って」と、先回りしてやり方を教えてしまうのは要注意です。お子さんが自分で考える機会を奪ってしまいます。失敗も含めて体験させることが、プログラミング学習では特に重要です。
NG2:結果だけを評価する
「ゲームが完成していないとダメ」「まだ動かないの?」といった結果重視の声かけは、お子さんのモチベーションを下げます。プログラミングでは、試行錯誤のプロセスに最も大きな学びがあります。
NG3:他の子と比較する
「○○ちゃんはもっと難しいゲームを作っているよ」のような比較は、お子さんの自信を損ないます。プログラミングに正解のペースはありません。お子さんのペースを尊重してあげてください。
NG4:長時間やらせすぎる
集中して楽しんでいるからといって、何時間も連続でやらせるのは避けましょう。目の疲れや姿勢の問題もありますし、適度な休憩を挟むことで集中力も持続します。30分〜1時間で休憩を入れるルールを作っておくと安心です。
NG5:無理に続けさせる
「せっかく始めたんだから」と無理に続けさせると、プログラミング自体が嫌いになってしまう可能性があります。興味が薄れてきたら、しばらく離れてもOK。別のきっかけで再び興味を持つこともあります。

学習をサポートするツールとリソース
Scratch公式チュートリアル
Scratchの公式サイトには、テーマ別のチュートリアルが多数用意されています。「アイデア」ページからアクセスでき、アニメーション、ゲーム、音楽などジャンル別に学べます。動画付きで手順が説明されるので、お子さんでも一人で進められます。
YouTubeの解説動画
YouTubeには、Scratchの使い方を丁寧に解説する動画がたくさんアップされています。「Scratch ゲーム 作り方」「Scratch 初心者」などで検索すると、お子さんの年齢やレベルに合った動画が見つかります。
Scratch入門書
書店や図書館には、子ども向けのScratch入門書が豊富に揃っています。実際の作品を作りながら学べるタイプの本を選ぶと、達成感を味わいながら進められます。親子で一緒に読みながら作品を作るのもおすすめです。
よくある質問
Q. 親がプログラミングをまったく知りませんが、それでも教えられますか?
「教える」という意識は捨てて大丈夫です。Scratchは子ども自身が発見しながら学べるように設計されています。保護者の方は「一緒に楽しむ存在」でいてください。わからないことがあれば「一緒に調べてみよう」と言うだけで、お子さんにとっては大きなサポートになります。
Q. 何歳くらいからScratchを教え始めるのがよいですか?
Scratchの対象年齢は8歳以上ですが、マウス操作ができれば小学1年生(6〜7歳)くらいから始めるお子さんもいます。もっと小さいお子さんなら、タブレット向けの「ScratchJr」(4歳以上対象)がおすすめです。お子さんの興味と発達段階に合わせて始めてみてください。
Q. プログラミング教室に通わせたほうがいいですか?
家庭での学習でも十分にスキルは身につきます。ただし、お子さんが「もっと本格的に学びたい」と望んだり、保護者がサポートする時間が取れなかったりする場合は、プログラミング教室も良い選択肢です。多くの教室で無料体験を実施しているので、まずは気軽に参加してみるとよいでしょう。
Q. Scratchをきっかけに本格的なプログラミング言語に進めますか?
進めます。Scratchで培った「順次処理」「繰り返し」「条件分岐」「変数」などの概念は、PythonやJavaScriptなどのテキストプログラミング言語でもそのまま活きます。Scratchでしっかり基礎を固めたお子さんは、テキスト言語への移行もスムーズにいく傾向があります。
Q. 子どもが同じような作品ばかり作っていますが、大丈夫ですか?
心配いりません。同じジャンルの作品を繰り返し作ることで、技術が確実に定着していきます。同じ「猫を動かすプログラム」でも、2回目、3回目と作るうちに効率の良い作り方を覚えたり、自分なりの工夫を加えたりするようになります。飽きてきたと感じたら、新しいテーマを提案してみるくらいの距離感がちょうどいいです。
Q. 学校でScratchを使っていますが、家でも同じことをさせるべきですか?
学校と同じ内容をやらせる必要はありません。家庭では、お子さんが自由に好きなものを作る時間にするのがベストです。学校では決められたテーマで取り組むことが多いので、家ではお子さん自身の「作りたい」を優先してあげてください。学校の復習になるのはもちろん、自由制作を通じて創造力がさらに伸びます。
まとめ
Scratchの教え方で最も大切なのは、保護者が「先生」ではなく「一緒に楽しむ仲間」でいることです。答えを教えすぎず、作品を具体的に褒め、親子で別々の作品を作って見せ合う。これだけで、お子さんのプログラミング学習は驚くほど充実したものになります。
プログラミングに詳しくなくても大丈夫。お子さんの「楽しい!」「できた!」に寄り添う姿勢が、何よりも効果的な教え方です。今日からぜひ、Scratchを親子で楽しんでみてください。


