「Scratchがバージョンアップしたみたいだけど、何が変わったの?」と気になっている保護者の方やお子さんは多いのではないでしょうか。Scratch 3.0は従来のバージョンから大きく進化し、より直感的で使いやすいプログラミング環境になりました。
Scratch 3.0ではタブレット対応やAI関連の拡張機能追加など、子どもたちの学びの幅を大きく広げるアップデートが行われています。パソコンだけでなくiPadでも使えるようになったことで、場所を選ばずプログラミングを楽しめるようになりました。
この記事では、Scratch 3.0で追加された新機能の全体像と、それぞれの使い方を具体的に紹介します。お子さんと一緒に新しい機能を試してみましょう。

Scratch 3.0とは?2.0からの進化ポイント
Scratch 3.0は、MITメディアラボが開発した子供向けビジュアルプログラミング環境「Scratch」の最新バージョンです。2019年1月にリリースされ、それ以降も継続的にアップデートが行われています。
最大の変更点は、Adobe Flashから完全に脱却してHTML5ベースになったことです。これにより、ブラウザの種類やデバイスを問わず安定して動作するようになりました。
| 比較項目 | Scratch 2.0 | Scratch 3.0 |
|---|---|---|
| 技術基盤 | Adobe Flash | HTML5(JavaScript) |
| タブレット対応 | 非対応 | 対応(iPad等) |
| 拡張機能 | 限定的 | 豊富(AI・音声合成等) |
| エディターの見た目 | 左にステージ | 右にステージ |
| ブロックのサイズ | 小さめ | 大きめ(タッチ操作対応) |
| 対応ブラウザ | Flash対応ブラウザのみ | Chrome・Firefox・Edge・Safari |
画面構成が変わったぶん、2.0の解説書だと手順が噛み合わないことがあります。3.0の画面に合わせた子ども向けの入門書を1冊そばに置いておくと、親子で操作を確認しながら進めやすくなります。
Scratch 3.0で追加された主な新機能
Scratch 3.0では、プログラミングの可能性を広げるさまざまな新機能が追加されています。ここでは特にお子さんが楽しめる機能を中心に紹介します。
拡張機能ライブラリの充実
Scratch 3.0では画面左下の「拡張機能を追加」ボタンから、さまざまな追加ブロックを読み込めるようになりました。従来のペンや音楽ブロックに加え、以下のような拡張機能が利用できます。
- 音声合成:入力したテキストをScratchがしゃべってくれる(Amazonの技術を活用)
- 翻訳:テキストを他の言語に翻訳できる(Googleの翻訳技術を活用)
- ビデオモーションセンサー:Webカメラで動きを検出してプログラムに反映
- 音楽:楽器やドラムの演奏ブロック
- ペン:スプライトで自由に線を描く
- Makey Makey:外部デバイスと連携
- micro:bit:教育用マイコンボードとBluetoothで接続
- LEGO MINDSTORMS EV3:レゴのロボットを操作
タブレット・タッチ操作への完全対応
Scratch 3.0はiPadやAndroidタブレットのブラウザでも動作します。ブロックのサイズが大きくなり、指でのドラッグ&ドロップがしやすい設計になりました。
パソコンがない家庭でも、タブレットさえあればプログラミング学習を始められるのは大きなメリットです。ただし、一部の拡張機能(micro:bit接続など)はタブレットでは使えない場合があります。
micro:bit連携まで試したくなったら、本体とケーブル・電池ボックスがそろったスターターキットが入り口になります。パソコンとBluetoothでつないでScratchから動かす遊び方に取り組む家庭も増えています。
新しいスプライトとサウンドの追加
キャラクター(スプライト)や背景、サウンドのライブラリが大幅に拡充されました。より多彩な作品作りが可能になっています。
スプライトライブラリから好きなキャラクターを選ぶだけで、すぐにプログラミングを始められます。自分で描いたイラストをアップロードして使うことも可能です。
注目の拡張機能:音声合成の使い方
音声合成拡張機能を使うと、Scratchのキャラクターが実際に声を出してしゃべってくれます。物語やクイズゲームを作るときに大活躍する機能です。
音声合成の導入手順
- Scratchのエディター画面を開く
- 画面左下の「拡張機能を追加」ボタンをクリック
- 一覧から「音声合成」(スピーカーのアイコン)を選ぶ
- ブロックパレットに音声合成カテゴリが追加される
基本的な使い方
「(テキスト)をしゃべる」ブロックにセリフを入力するだけで、キャラクターが声を出して読み上げてくれます。声の種類も「アルト」「テナー」「キトゥン」など複数から選べます。
「声を(○○)にする」ブロックで声質を変更できるので、キャラクターごとに異なる声を割り当てると、物語作品がより楽しくなります。

注目の拡張機能:翻訳の使い方
翻訳拡張機能は、Googleの翻訳エンジンを使ってテキストを他の言語に変換してくれます。語学学習アプリや、多言語対応のゲームを作る際に活用できます。
翻訳機能の活用例
- 入力したひらがなを英語に翻訳するクイズアプリ
- 世界の挨拶を教えてくれる教育プログラム
- 翻訳結果を音声合成で読み上げる語学学習ツール
「(テキスト)を(言語)に翻訳する」ブロックを使えば、50以上の言語への翻訳が可能です。音声合成ブロックと組み合わせることで、翻訳した内容をそのまましゃべらせることもできます。
注目の拡張機能:ビデオモーションセンサー
ビデオモーションセンサーは、パソコンのWebカメラを使って「動き」を検出する拡張機能です。体を動かしてプログラムを操作できるので、ゲームやインタラクティブな作品作りにぴったりです。
ビデオモーションセンサーの使い方
- 「拡張機能を追加」から「ビデオモーションセンサー」を選ぶ
- Webカメラへのアクセスを許可する
- 「ビデオの動きが(数値)より大きいとき」ブロックで動きを検出
- 検出した動きに応じてスプライトを動かしたり、音を鳴らしたりする
カメラの前で手を振ると反応するプログラムや、体全体を使って遊べるゲームなど、画面の中だけに閉じない作品が作れるのが魅力です。
ノートパソコンの内蔵カメラでも動きますが、画角が狭くて上半身しか映らないことがあります。外付けのWebカメラを机の上に置くと、体を大きく動かす作品も試しやすくなります。
ビデオモーションセンサーを使う際は、カメラへのアクセス許可が必要です。お子さんが使う場合は、保護者と一緒に設定を確認してから始めましょう。タブレットのブラウザでは動作しない場合があります。
Scratch 3.0のエディター画面の変更点
Scratch 3.0では、エディターの画面レイアウトも大きく変わりました。使い始めのときに戸惑わないよう、主な変更点を把握しておきましょう。
ステージの位置が右側に移動
Scratch 2.0ではステージ(プログラムの実行結果が表示されるエリア)が画面の左上にありましたが、3.0では画面の右側に配置されるようになりました。これにより、ブロックを組み立てるコーディングエリアが広くなり、作業がしやすくなっています。
スプライト一覧が画面下部に
スプライト(キャラクター)の一覧表示が画面下部のパネルに変更されました。スプライトの追加・削除・選択がよりスムーズに行えます。
バックパック機能
画面下部にある「バックパック」を使うと、スプライト・コスチューム・音・スクリプトを保存しておき、別のプロジェクトに持っていくことができます。お気に入りの作品パーツを再利用したいときに便利な機能です。

Scratch 2.0のプロジェクトはそのまま使える?
Scratch 2.0で作ったプロジェクトは、Scratch 3.0でもそのまま開いて編集できます。互換性が保たれているので、過去の作品を作り直す必要はありません。
ただし、一部のブロック(ペン関連など)は拡張機能として分離されたため、読み込み時に自動で拡張機能が追加されることがあります。動作自体は変わりませんが、ブロックの色やカテゴリの位置が変わっている場合があるので、最初に確認しておくと安心です。
Scratch 3.0を始めるために必要な環境
Scratch 3.0を快適に使うための推奨環境を確認しておきましょう。
| 項目 | 推奨環境 |
|---|---|
| ブラウザ | Chrome、Firefox、Edge、Safari(最新版) |
| パソコンOS | Windows 10以降、macOS 10.13以降、ChromeOS |
| タブレット | iOS 11以降のiPad、Android 6.0以降 |
| インターネット | 必須(一部機能はオフラインアプリでも利用可能) |
| 料金 | 完全無料 |
タブレットで取り組む場合、指だけだと細かいブロックの位置合わせに手こずることがあります。タッチペンがあると小さなブロックもつかみやすく、低学年のお子さんでも操作しやすくなります。
インターネット環境があれば、Scratch 3.0はアカウント作成なしでも試せます。ただし、作品の保存・共有・コミュニティへの参加にはアカウントが必要です。無料で作成できるので、継続的に使う場合は登録しておきましょう。
Q&A:Scratch 3.0のよくある疑問
Q. Scratch 3.0は無料で使えますか?
はい、Scratch 3.0は完全無料で利用できます。アカウント作成も無料で、拡張機能を含めたすべての機能に追加料金はかかりません。
Q. スマートフォンでも使えますか?
スマートフォンのブラウザでもアクセスは可能ですが、画面サイズの関係で快適な操作は難しいです。タブレット以上のサイズの端末での使用がおすすめです。
Q. オフラインでも使えますか?
Scratchデスクトップアプリ(Windows・macOS・ChromeOS対応)をダウンロードすれば、インターネットに接続していなくてもプログラミングができます。ただし、音声合成や翻訳などの拡張機能はオンライン環境が必要です。
Q. Scratch 2.0とどちらを使うべきですか?
これから始める場合はScratch 3.0がおすすめです。Scratch 2.0はAdobe Flashのサポート終了により、すでに公式での利用が推奨されていません。3.0はすべてのモダンブラウザで動作し、機能も充実しています。
Q. 拡張機能は安全ですか?
Scratch公式に搭載されている拡張機能はすべてMITが安全性を確認したものです。外部サービスとの連携(音声合成・翻訳など)もデータの安全性に配慮された設計になっています。
まとめ
Scratch 3.0は、従来バージョンの使いやすさを引き継ぎながら、タブレット対応やAI関連の拡張機能追加など、学びの可能性を大きく広げたアップデートです。
特に音声合成・翻訳・ビデオモーションセンサーの3つの拡張機能は、お子さんの創造力を刺激する優れたツールです。従来のゲーム制作やアニメーション作りに加えて、声を出すプログラムやカメラと連動するインタラクティブな作品にもチャレンジできるようになりました。
まずはScratch公式サイトにアクセスして、新しくなったエディターに触れてみてください。お子さんと一緒に拡張機能を試しながら、プログラミングの楽しさを体験しましょう。



